曖蓮
僕の前にいる龍麻に聞いてみた。
「僕は君を愛しているよ。君は?」
龍麻はにっこりと笑っていった。
「うん。俺も如月好き。」
嬉しかった。
だけど、何か引っ掛かった。
それはほんの少しのものなのに何故か気になるものだった。
だから聞いてみる。
それがどんな愚かな事か。
「じゃあ、蓬莱寺は?」
「うん好きだよ。」
「じゃあ、美里さんは?」
「好きだってば。」
「醍醐君は?」
「なんだよ。好きだよ?」
怪訝な顔の龍麻。
僕は何だか・・・・・・。
「雨紋は?村雨は?壬生は??」
「・・・・・・如月?」
怪訝な顔。
ねぇ?龍麻、君は僕の話し聞いてたのかな?
「僕は君の中で何番目?」
「・・・・・・番号とかそんなの付けられ・・・・。」
「うん、そうかい。じゃあ、愛してるの意味は知ってる?」
龍麻の顔は苦笑いに歪む。
そんな顔も綺麗だね。
だけどそれは誰に向けたものなんだい?
君は何故・・・・。
「それくらい知ってるよ。一緒に居たいと言う意味だろう?」
そうかな?
どうだろう・・・・?
一緒に居たい。
確かに居たいよ。
君とずっと一緒に居たい。
宿星だろうが使命だろうが君と結びつくものなら僕は何でも縋って見せるよ。
まるで僕はストーカーだね。
だけど、でも・・・・・・
「ねぇ、龍麻?愛しているよ。」
「うん。好きだよ。一緒に居ようね?」
それだけ?
それだけのものなのだろうか?
そんなきれいなものだけ求めているのだろうか?
望みすぎてはいけないのか?
嫌われない。
それだけで満足なのか?
僕は君に何を望んでこんな事を言っているんだろう・・・・・。
ねぇ、龍麻。
妖しと戦う君の姿が余りに綺麗で僕は君を愛する。
血に濡れて前を向き、揺るがない目が好きで僕は君を愛する。
強い龍麻。
穢れた所のない綺麗な龍麻。
闇に忍ぶ僕と何て違う事だろう。
血塗られる僕と何て違うんだろう。
ああ、そうか。―――――――だからこそ・・・・・・・。
「んー・・・なあ。何か食いに行こう?」
そうやって笑う君をおとしたい。
ここまで。
この臓腑溢れる波間まで・・・・・。
そのとき君はそれでもそうやって笑っているのだろうか?
けして汚される事無く、そんなものは知らないと笑っているのだろうか?
臓腑の中で・・・・・・・・・。
気付くと笑う僕を龍麻は不思議そうに見つめていた。
曇り無い黒曜石。
時折前髪に遮られ、それでもなお光を失わない美しい宝石。
「・・・・・・・・綺麗だね・・・・・」
ソレガ欲シイヨ。
ねぇ龍麻、それがどんなに陳腐な感情だろうと君は僕が好きと言ったね?
一緒に居たいと言ったよね?
君にとって、それは愛だと。
それならばそれでも良いよ、
だけど、僕はそんな綺麗なだけの物いらないんだ。
だから良いよ。
君に僕を愛するという事など求めないでおこう。
それはとても悲しい事だとしても。
その代わり、僕に変わらない物をくれないか?
それだけで良いから。
その瞳を僕に譲ってくれないかい?
そうすれば、君と僕はずっと一緒。
僕は君の瞳を君以上に大切にしよう。
君は僕の行為を忘れないだろう?
君は僕を恨むだろうか?
君は僕を蔑むだろうか?
それも、良い。
いいや、その方が良い。
愛してるよ、愛してるよ、愛してるよ。
愛しているから・・・・・君の物が欲しい・・・・・。
変わらぬ・・・物を・・・・。
美しいその宝石。
穢れないその・・・・・・。
「如月?」
「龍麻。」
龍麻を組み敷いてそっと瞳に指を入れた。
驚いた顔の余韻をそのままに龍麻の顔は苦痛に歪む。
ああ、そんな顔も美しいんだね・・・・。
ぶちぶちと音がする。
生温い内。
苦痛に歪み脂汗が滲む顔で、それでも龍麻は僕を見たまま碌な抵抗をしなかった。
時折上がる押し潰した嬌声。
その声はまるで龍麻を抱いているような錯覚を僕に魅せた。
最後の視神経が取れて龍麻の目は龍麻のものでなくなる。
龍麻は残った片目で元は自分のものであった目を見つめていた。
それから美しく微笑んだ。
うっとりと、夢見るように。
・・・・・・・・龍麻?
僕の手に流れる、自分の目から流れる、そのものに舌を這わせた。
そうしながら僕を見る。
もう何も無くなった紅い空洞からぽたぽたと滴らせたままで。
ニィ・・・・・。
月型の唇。
怪しく美しい龍麻。
どうしたんだい?
どうしたんだい?
美しい龍麻。
綺麗な龍麻。
穢れない龍麻。
・・・・・・・・・・・・君は・・・・・・・・・・
「馬鹿だな、如月。そんな事をしなくても俺は一緒に居てやるよ。」
もしかした、君は・・・・・・・・・・。
「龍麻・・・・?」
そこに居るのか?
もうここに、僕の場所に。
・・・・・・・・・何だ、そこにいたのかい。
・・・・・・・・・・・やっぱり、君は笑っているんだね。
「・・・・・・・・・・龍麻・・・・・・。」
そっと僕は龍麻を抱いた。
龍麻は僕の腕の中で笑っていた。
「これじゃあ、食いに行けないね。」
それだけの事のように
ああ、なんだ。
君は隠すのが上手いんだね・・・・・。
僕は微笑んで、手の中の水晶をそっと包み込む。
壊れないように、腐らないように
そっと、そっと。
ねこ宮様からいただきました小説です
やはり眼球くりぬきはいいですね。素敵です
ねこ宮様のダーク小説大好きです
無理を言って書かせてしまい、本当にすみません
ありがとうございました
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