【迷宮−labyrinth−】
目が覚めたら俺は迷宮の中にいた。
もう物心のつく前からずっとずっと迷宮の中にいた。
多分、生まれたときからずっとずっとずっとずっと。
暗闇の中を手探りで歩いても出口は見つからない。
もうどれくらい彷徨っているのかさえわからない。
何ヶ月も、何年も、何十年も、何百年も、何千年も何万年も、何億年も。
出口は見つからない。
ねぇ、みんな。迷宮に出るには答えが必要なんだ。
迷宮から出るための問題はこれ。
『俺ってなんなの?』
俺ってみんなの目にどんな風に映ってるの?
ねぇ、答えてよ。俺ってなんなの?
優しい人?頼れるリーダー?明るいムードメーカー?
ホントの俺ってなんなの?周りに合わせていればそれでいいの?いい子ぶっていればそれでいいの?
それって俺じゃないじゃん。自分に都合がいいのなら俺じゃなくても誰だっていいんでしょ?
だったら俺の存在価値って何?どうして俺はここにいるの?俺ってなんのために生きてるの?
ねぇ、誰か教えてよ。誰か答えてよ。
答えがないと俺は出られないんだよ。ここから出してよ。
表に出たいんだ。光を浴びたいんだ。ほんのちょっとでもいいから光を浴びたいんだ。
ねぇ、ホントの俺って何処に行ったの?そもそも『俺』って一体誰?
苦しいよ、苦しいよ、辛いんだよ。
誰か助けてよ。どうして誰も助けてくれないの?
悲しいよ、悲しいよ、どうしようもなく辛いんだよ。
どうして?なんでみんな俺を無視するの?ねぇ、みんな、ねぇってば。
ねぇ、教えてよ、答えてよ、助けてよ。
明るいふりして暗い自分を隠すの、もう耐え切れない。
答えを教えてよ。俺の手をひいて出口に案内してよ。ねぇ、聞こえてるの!?
あぁ、そうか…この迷宮に出口はないんだね…。
拳が砕けるほど石壁を叩いても出ることはできないんだね…。
ずっとここで迷ったまま、死ぬことも許されず、生きることも許されず、俺は彷徨うんだね…。
答えなんかはじめからなかったんだ…。
あと何ヶ月、何年、何十年、何百年、何千年、何万年、何千年、何億年待ったとしても俺を助けてくれる人はいない。
だって本当の『俺』はみんなに受け入れてはもらえないから。
みんなが欲しいのは『俺』じゃなくて、優しくて頼りになる明るいムードメーカーなリーダーなんだよ。
誰も『俺』なんて必要としてないから…。
みんなが欲しいのは『偽者の俺』。
『本物の俺』はいつまでも迷宮の中。
着飾って、演技して、微笑んで、好かれて…
価値があるのは偽者なの?ねぇ、じゃあどっちが本物?俺が偽者なの?
ねぇ、みんな…。俺のほうを見てよ…。無視しないでよ…。
ここから…ここから出してよ…。
そして俺を見て微笑んで…。俺に語りかけて…。ほんの一言だけでもいいから…。
苦しいよ、悲しいよ、淋しいよ、辛いよ。
ねぇ、みんな…。俺の声を聞いて…。俺を見て…。俺を助けて…。
ここから…出して…。
『龍麻という名の迷宮』の中から…。
THE・END
陰でもいいけど陽っぽいから陽にUP
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